血行障害などで生じる「肛門部の腫れ」のことです。
肛門への負担が大きくなると、その血管は太くなり静脈瘤のように腫れ上がります。その状態を痔核(いぼ痔)と呼び、血液の流れが悪くなり停滞することで出血を伴う場合があります。さらに長く放置すると痔核が大きくなり、肛門外に脱出するようになります。(脱肛)
内痔核…歯状線より、直腸側(内側)にできる
外痔核…歯状線より、肛門側(外側)にできる
※内痔核が大きくなり外へ脱出すると、外痔核を伴った「内外痔核」という状態になることもあります。
脱出を伴う内痔核(排便時に出てくる、あるいは普段から出たままの状態のいぼ痔)に対し、ジオン注という注射薬剤を投与します。痔核に流れ込む血液の量を減らし、痔核を硬くさせることで、粘膜に癒着・固定させる治療法です。
※有効成分の頭文字からALTA(アルタ)とも呼ばれます。
(Aluminium Potassium Sulfate Hydrate・Tannic Acid)
※症状の程度により、入院治療が必要な場合がございます。その場合は他医療機関をご紹介させていただきます。
痛みを感じない内痔核に注射をします。基本、麻酔は必要ありませんが、肛門鏡の挿入に抵抗を感じる方は、麻酔を使用します。(肛門を緩め、挿入しやすくするため)
4か所に分けて注射(四段階注射法)し、薬液を十分に浸透させる(※複数の痔核がある場合は同様に行う)
注射後は30分~1時間程度安静にしておく
出血が見られなくなり、脱出・腫れが治まります。
経過(例) | 副作用(報告例) | |
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当日 | 投与前に排便を済ませておく。 投与後は、麻酔などの影響がなくなるまで、安静にして帰宅。 |
血圧低下・下腹部痛・嘔気(気持ち悪い、胃のむかつきなど) |
翌日 | 状態確認のために受診 | 肛門部に鈍痛や違和感…数日でなくなる。 |
それ以降 | 徐々に間隔を延ばしながらの通院で可(5~7日後、2~3週間後、1か月、3か月、6か月、1年) | 肛門部粘膜の硬化(自然治癒する) 一過性の発熱を起こす場合あり。 |
※定期的に通院をすることで、予期せぬ副作用への対応を行います。